こんにちは。管理部門の西田です。
突然ですが、皆さんは歯周病ってどう思いますか? 歯茎が腫れる、歯がぐらぐらする、出血する、などのイメージを持っているかと思います。
けれど歯周病は歯の周りの病気というだけではありません。 歯茎の血管を通って歯周病の細菌が全身に回ってしまうと、別の合併症を引き起こす危険性があります。 もはや口の中の病気ではなく、身近にある全身に関わる病気と言えますね。
今日は口の中の健康を保つことから、全身の健康を守るという観点からお話ししたいと思います。
目次
1.歯周病とはどんな病気?
2.歯周病が全身に及ぼす影響
3.最後に
厚生労働省によると、歯と歯茎のすきま(歯周ポケット)から侵入した細菌が、歯肉に炎症を引き起こし、さらには歯を支える骨を溶かしてグラグラにさせてしまう病気を歯周病といいます。虫歯と異なり痛みが出ないことの方が多いのですが、気づかないうちに進行し歯肉からの出血などが起こった後、歯が自然に抜け落ちるほど重症になることがあります。
日本人が歯を失う原因としては、歯周病と虫歯が2大原因となっていますが、40代後半からは虫歯より歯周病のほうが割合が高くなり、全体としては歯周病が最も割合が高くなります。 歯周病の初期は自覚症状がなく進行度も遅いですが、過去の歯科疾患実態調査では国民の8割が何らかの所見があるというデータがあり、実は世界で一番感染者の多い病気として2001年ギネス世界記録にも認定されています。
歯周病=口の中の病気と思うかもしれませんが、腫れた歯茎の血管から、口の中の細菌が全身に回り、次のような様々な病気をもたらす危険性があります。
・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞
歯周病の原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)ができ、血液の通り道が細くなることで血管が詰まることに繋がり、発症する恐れがあります。 脳梗塞は、歯周病の人とそうでない人とで、2.8倍もなりやすいと言われています。
・誤嚥性肺炎
肺炎の中でも、口の中の細菌が肺に入り込み炎症を起こす肺炎を誤嚥性肺炎や嚥下性肺炎と言います。 歯周病菌は胃に入れば胃酸で殺菌されますが、誤って食べ物や唾液が気管・肺に入った場合に、肺炎を起こすリスクが高まります。 誤嚥性肺炎の原因となる細菌は歯周病菌が多いと言われているので、歯周病のコントロールが誤嚥性肺炎の予防には重要になってきます。
・糖尿病
実は歯周病は糖尿病の合併症の1つといわれるほど深い関連性があり、糖尿病だと歯周病に2倍以上かかりやすくなると言われています。 歯周病菌が原因で発生する物質は、インスリンの働きを妨げてしまうため、血糖管理が困難になります。 歯周病を治療することで、血糖値が下がることも分かっており、歯周病と糖尿病は強くお互いに関係しています。
・骨粗鬆症
女性ホルモンであるエストロゲンというホルモンの分泌が少なくなると、全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。歯周病で歯を失うことにより食べ物を噛む力が弱まり、バランスよく食事することが難しくなるため、身体全体の骨密度が低下するという悪循環も起こりやすくなります。また、歯周ポケット内では炎症を引き起こす物質が作られ、歯周炎の進行が加速されると考えられています。
・早産や低体重出産
歯周病にかかっている妊婦さんとそうでない妊婦さんを比較すると、歯周病にかかっている妊婦さんは、早産の可能性が高まると報告されています。これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかと考えられているためです。タバコやアルコールが出産に影響があることは知られていますが、それ以上に実は歯周病原因菌が影響してしまうという驚きのデータもあります。
歯周病が全身の健康に及ぼす影響を少しでもお分かりいただけたでしょうか。
歯周病予防には日々の丁寧な歯磨きや、定期的な歯科医でのケアで口腔内を清潔に保つことが大切です。 特に年齢を重ねていくと、歯肉や口の中の粘膜が弱り、唾液の分泌量も低下するので、歯垢や歯石が沈着し細菌が繁殖しやすくなりますので、より丁寧にケアしていくことが望ましいです。
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参照サイト:厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth-summaries/h-03
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